夜10時頃、職場の廊下奥のトイレ前に見た事のない不審なオッサンが突っ立っていた。
白いキャップ帽を深々と被り、膝までの半ズボンにスニーカー姿。
何かを確かめるようにキョロキョロとしている。
私の直感だが、
単刀直入に言うと「空き巣の下見」といった感じ。
なぜそう感じたのか。
それは私自身が過去に3度も空き巣と偶然バッタリ鉢合わせになった経験からそう感じた。
オッサンは私の姿に気付くとブツブツ呟きながらうつむいてそそくさと階段を降りて行くので、
私もすぐに後を追い掛けたが素早くダッシュで逃げられてしまった。
諦めて事務所に戻ろうと階段を上り切ったその時、下から誰かが階段を上って来る。
「さっきの不審者か!?」
とドキドキしながら振り返ると、
先日全裸で四つん這いにされていた隣の事務所のおっちゃんであった。
軽く挨拶を交わしたが、おっちゃんの姿をよく見るとナゼか浴衣着に革靴という
なんともアンバランスな出で立ち。
その浴衣姿があり得ない程にシワシワで、帯は結べておらずほぼ裸。
浴衣はゴミから拾って来たのか、それとも西成ドヤ街のドロ市で買って来たのかは不明だが、
靴は左右違う靴を履いているところが悲しい。
見た目はまるでこの辺りにいるホームレスのおっちゃんと何ら変わらない姿。
先ほどの空き巣の方がまだまともな格好をしていた。
おっちゃんの今後の人生が心配になった瞬間だった。
コメントを残す