珍泥棒 <後編>

 

バシャッ!バシャッ!ドシャッ!

と水のはじく大きな音と

「イタタタ!」

と言う男の情けない声がした。

 

急いでドブ川に駆けつけると、

夜のドブ川は灯りがないので真っ暗で見えない。

深さの感覚もわからない。

 

真っ暗な中で泥棒はうめいている。

飛び込んだ勢いでケガしたのか。

 

私は懐中電灯の灯りでドブ川を照らし出すと

泥棒はハアハアと息切れし、

手で足の辺りを押さえながら

顔は下を向いてだんご虫のようにうずくまっている。

 

なんと!

ドブ川沿いから格好良く逃げようと企んだ泥棒が

ダイブしたドブ川でこんなマヌケな展開になろうとは。

 

神様っているんだな〜としみじみ実感したと同時に

私の頭の中でTMネットワークの

「DIVE INTO YOUR BODY」の曲が流れ始めた。

まさに歌詞の「ひと夜にいくつ奇跡が起きる?Tonight」

をそのまま体現してしまった。

 

泥棒は恐らくずぶ濡れになっているだろう。

真冬の1〜2月頃だったので相当寒いはず。

 

もしもこちらにあと二人ほど人員がいたならば

今すぐ袋叩きという制裁を加えるところであったが

残念ながらこちらは一人。

護身用の武器も携帯電話も何も持っていない。

 

あまり泥棒を追い込むと

窮鼠猫を噛むということわざがある通り

逆に何をされるのかわからないので

ここは一旦引き返して警察に電話。

 

深夜だったので警察はすぐに来てくれたのだが

ドブ川に案内した時にはもう泥棒の姿はなかった。

 

状況を説明してすぐに捜索してくれるのかと思いきや

それは特になかった。

警察は重大な事件以外はほとんど動かないという警察の本質を理解した。

 

その後警察から注意されたことは、

泥棒を追い掛けないことと、

泥棒に狙われやすいお宅のほとんどが

玄関の外灯が消えているので点けておいた方が良いとのこと。

 

確かに、電気代をケチって消していた。

反省・・・。

 

そして朝になって気付いたのだが、

ベランダに干していた

オカンの色気もクソもないヨレヨレのブラジャー二着が

泥棒によって盗まれていた。

 

空き巣兼下着ドロボーという新種の泥棒か。

新しいタイプ。

とりあえず警察に報告。

 

あれから12年経過したが、

玄関とベランダの外灯のおかげで見えない威力を発揮。

泥棒の被害を未然に防いでくれている。

 

 

ちなみに、こちらが↓

TMネットワークの「DIVE INTO YOUR BODY」です。

 

 

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