川井さん(仮名)の報復 <後編>

 

今度のクラクションはいつまでたっても鳴り止まない。

さらに川井さんの怒鳴り声まで聞こえてくる。

気になって窓から覗いてみると、

川井さんの駐車場にまた他人の車が無断駐車していた。

 

クラクションを鳴らし続けても車の持ち主が現れない事に腹を立てて、

川井さんと坊主頭がとうとう無断駐車の車に蹴りを入れ始めた。

 

普段は優しい笑顔で明るく挨拶してくれる川井さんが

今はヤ○ザの抗争状態だ。

 

坊主頭もベンツのトランクに仕込んであった黒い鉄棒で

ボディをボコボコに凹ませてサイドミラーを割り始めた。

 

窓ガラスに手をつけないところが良心的。

 

川井さんも自分の杖を振り回していたが、年齢的に疲れたのだろう。

休憩している。

あとは元気な坊主頭におまかせ。

 

車の持ち主ももはや出るに出られない状況であろうと想像する。

 

お向かいのヤ○ザ事務所の若い衆はドヤドヤとそれを見物。

 

車は見るも無残な姿に変わり、

川井さんは涼しい顔をして近くのコインパーキングにベンツを停めに行った。

その一瞬の間に車の持ち主が現れて、顔面蒼白で慌てて逃げて行った。

 

駐車場の注意書き看板には

「無断駐車厳禁」

「当駐車場内での事故・盗難等、一切責任を負いません。」

と書かれてある。

 

契約者以外の無断駐車は何が起こるかわからない駐車場。

 

今回の怒りで、川井さんの杖は木製ではなく特殊な金属製だとわかった。

 

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